秩父川瀬祭とは

秩父神社の夏祭り(摂社「日御碕宮」の例大祭)である秩父川瀬祭は、300年以上の伝統を誇る秩父を代表する夏祭りであり、毎年7月19日、20日に開催されます。

 

秩父神社例大祭「秩父夜祭」と対比する祭ともいわれ、平安時代より続く祇園信仰と氏神様の悪疫払い神事との習合による秩父古来の信仰・習俗を今に伝える貴重な祭です。

 

「秩父川瀬祭の川瀬と屋台行事」として令和3年(2021年)に県指定無形民俗文化財となった祭りで、市指定有形民俗文化財である笠鉾4基・屋台4基が秩父屋台囃子を轟かせながら街中を曳き廻されます。20日には荒川に向かって屋台、笠鉾の先祓いのもと御神幸行列をなし(お川瀬)、武の鼻斎場の妙見淵付近において神輿を川へ担ぎ込み清める「神輿洗いの儀式」が行われます。

 

また、各町内で行われる「お水取り神事」は、19日または川瀬祭の前の晩に、若衆が荒川へ入り、身を清めます。その後「御神水」を町内に持ち帰り、東町含む複数の町会においては辻々に撒いて悪疫封じ及び屋台巡行の安全を祈願する「辻まき」が行われます。

 


300年以上の歴史を持つ秩父のお祇園


その歴史は長く、最も古いものでは万治 2 年(1659年)の「井上家文書」に「六月十五日の川瀬の祓」の記載が見られます。

 

また、宝永6年(1709年)に忍藩の代官へ提出した文書である「秩父領百姓年中業覚」(松本家御用日記)の中でも、「六月農休として一両日遊申候夫寄り田之草畑作手入段々仕候女者絹糸始申候 15日妙見川瀬祭遊申候」と記されています。

 

時は下り、天保8年(1837年)起稿の「秩父志」には、「六月十五日 御輿神事有テ西方の荒川ノ清流中ニ神幸有、最祭式ノ大ナル者ナリ」とあり、神社神輿の「神輿洗いの儀式」のことが記されています。

 

明治以降には付祭り(神事に付随する民間行事。「神賑わい」ともいう。)として各町内で笠鉾や山車が作られて曳行されるようになり、「お川瀬」の神幸行列に供奉するようになったといわれます。